磁性
2018.11.26
 磁性とは、磁石の性質です。棒磁石を思い出してください。棒磁石には、N極とS極があり、N極同士及びS極同士は反発し、N極とS極は引合います。棒磁石からは、N極からS極に向かって磁力線が出ていますが、この矢印の方向に磁力が働きます。
 磁性という性質は、原子レベルで見ると電子の回転により発生しています。電子は負の電荷を持ち地球のように自転しています。この自転により、電子自体が極小の磁石となります。これが磁力発生の原因です。
 磁性には、強磁性、常磁性、非磁性があります。強磁性とは、磁石のように強い磁力を持っている性質です。常磁性とは、磁石のような磁力はありませんが、磁石を近づけるとつく性質です。非磁性とは、磁力もなく、磁石にもつかない性質です。
原子レベルで考えると、全ての電子磁石の方向が揃いかつ動かない性質が強磁性、通常は、電子磁石はランダムな向きですが、磁石が近づくと一斉に方向が揃う性質が常磁性、常に、電子磁石の方向がランダムで固定されている性質が非磁性です。
鉄は、常磁性と強磁性をもつ代表的な金属です。鉄は、通常は常磁性を示しますが、ある条件で磁化させると強磁性の性質を持ち磁石になります。しかし、鉄の強磁性も温度を上げていくと770℃以上で磁性を示さなくなります。この変化を磁気変態といい、変態温度(=770℃)をキュリー温度といいます。
 鉄以外の金属で磁性を示すのは、強磁性体のニッケルNi、コバルトCo等があります。ステンレス鋼は、鋼にクロムCrとニッケルNiを溶かした合金鋼ですが、成分により磁性が異なります。クロム系ステンレス(13%Cr、18%Cr)は磁石につきますが、クロム・ニッケル系ステンレス(18%Cr-8%Ni)は磁石につきません。

2018.11.26 11:03 | 固定リンク | 鉄の科学

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